#10

高校の時に好きだったあの子の事、今は思い出しても辛くならない。卒業して3年経ったわけだから。

 

私のあの子に対する熱量は異常で気持ち悪くて、誰から見てもそうだと思ってた。私があの子をどのくらい好きだったかを説明しただけで特定されそうなくらい好きだった。また21年しか生きてないのにあれを超える片思いはない気がしている。

ただの友達だったくせに図々しく私はあの子の記憶に一生残る気でいた。だって気持ち悪かったから。

好きなところ紙1枚分にビッシリ書いてドン引かれて、寝室に写真印刷して飾ってまたドン引かれた。今思い返すとあれらは奇行というかもうほぼ加害行為だったけど、とにかく自分はあの子の記憶に最悪な形でも残ると思っていた。だからハッキリこれが恋愛じゃないと言われた時、恋愛じゃないに決まってるのにめちゃくちゃ普通に傷ついてしまった。

 

恋愛じゃないに決まってる。私が馬鹿みたいに2年間もやってたのは顔が好みの女の子に付きまとって迷惑をかけるストーカー行為だ。失恋なわけないし恋ですら無かったかもしれない。

 

高校生って普通、前髪気にしてクラスの男子と話して可愛いカフェの写真載せるとかだよな、する事。間違っても好きな女の子がインスタに載せてた自撮りの脇の部分拡大して興奮で体調崩すとかじゃないよな絶対。もう本当に嫌になってきた。

 

誕生日とか部活の引退試合とか、節目節目でその子にものすごい量の手紙を書いていた。LINEで全部言えって話だけど、1番最初にその子に手紙をあげた時思いの外喜んでくれて、それに気を良くして何かあれば手紙を書いて感想を送らせていた。手紙はエモーショナルな気持ちになる夜に書いていたため、元々まわりくどい私の文章は更にまわりくどくなり、後からあんな事書かなきゃ良かった!で発狂していた。特にその子の19歳の誕生日は手紙を書く最後の機会だったため、10年来の親友みたいなノリの手紙を書いてしまい本当に恥ずかしくなって後悔したのを覚えている。だけどそこから2年経った夏、その子から急にDMが来た。暇な時間に私の手紙を見返していたら私の文章に感動してくれたらしく、私の手紙で元気が出たという事だった。報われる事の意味をはじめて知った。

 

そんな感じで私はとても気持ち悪く普通にドン引かれつつも、まあ友達として仲がいい方ではあった。だから少し寂しくなる。そこそこの間隔でしていたLINEはもう何年もしなくなってもしかしたらブロックされてるかもしれないし、更新する度にすぐ見てくれていたストーリーは今は3回に1回くらいしか見てくれていない。そもそも私のインスタに興味があって見てくれていたのか分からない。

 

他の人が名前を出すだけで何故が動悸がして汗をかくほど好きだった人、他の女の子と遊んでいるのを見るだけで鬱になるからわざわざミュートにするくらい好きだった人、会わなくなってから数年経って今は少しどうでも良くなった人。と思ったら街でバッタリ再開して、可愛くなったねって言われたのを思い出して涙出そうになるくらいまだ好きな人。

 

fua fua

中学生の時テルミーというアプリが流行った。今で言うXと知恵袋の中間みたいなものだった。タイムラインにそれぞれ聞きたい事を書き込んだ投稿をして、たしかアンケート機能もあったような気がする。

テルミーは多分知恵袋寄りのものとして開発されと思うが、実際の使われ方はだいぶTwitter寄りだった。テルミー界隈で有名な人というのが何人かいたが、その人達が知恵袋みたいな使い方をテルミーでする事はなく、毎回承認欲求を満たすための投稿をしていたように思うから。そして私もそのうちの1人だった。

 

私はふぁふぁという名前で活動していた。学校に行く前にテルミーを見て、帰ってきてからもテルミーの通知を確認するような生活だった。私は顔が可愛くなくて内気で普通の家庭だったが、顔が可愛くなくて内気で普通の家庭だと中学は楽しくない。だからテルミーが当時の私にとっての居場所だった。美人で優秀でお嬢様で、なぜか中学の時点で早稲田を目指しているふぁふぁという女の子をすごく楽しんでやっていた。

私は小さい頃から口だけ達者だったし文章もまあうまかった。周りの大人も「ふぁふぁちゃんは本当に賢くてすごい」とおだててくれて、学校で目立てない私はすごく気持ちよかった。

今も昔も変わらないもので、生意気で変に弁が立つ女はとりあえずネカマだという事にされる。タイムラインにモザイクなしのゲロの写真をアップしていたもえまという女には特に嫌われていて、背中に龍の刺青が入っているというそんな訳ない噂を流されていた。

 

だけどテルミーには私を嫌う人達だけではなく仲良くなってくれた人もいた。何者という名前の当時30歳?の男の人とはすごく仲良くなって、というか半分ネット恋愛みたいな事をしていた。カカオを交換して毎日連絡を取りあって、電話は誘われた事が無かったけど私はかなり熱中していた。

向こうは多分バカな16歳誑かしてるくらいにしか思ってなかったと思うが、私は相手の反応を見るために急に音信不通にするくらい彼が好きだった。

もう1人仲良くなった男の人がいて、その人も31歳とか32歳とかだった。その人はしつこく電話に誘って来て、テルミー内でもよくちょっかいをかけてきた。ただやっぱり私の中学生活は楽しくなかったから男の人に構われるのは嬉しかったし、満更でもなかった。その人とはテルミーがサービス終了した後もTwitterで繋がって、私が高校生になってからも時々DMをしていた。その人には連れ子がいる彼女さんがいて、その連れ子の女の子とも仲良くやれてるからそのうち結婚するとの事だった。その人もただ中学生とやり取りしたいから私にベタベタして来ただけだと思うが、頻繁に私に彼氏が出来てないか聞いてきては「ふぁふぁはブスだから出来るわけないな!」と楽しそうにしていた。結局それから何度か揉めて、しかもその時使っていたアカウントが消えてしまったのでもうどうしようもないが、元気にしていて欲しいと思う。

 

今日突然思い出して書いたけどやっぱり自分は変わってる。あと30代と縁があり過ぎる。